「忙しい、忙しい……」
介護現場で、こんな言葉が飛び交っていないでしょうか。
「今日も忙しいね」
「人が少ないから忙しい」
「ちょっと待って、今忙しいから!」
忙しいの漢字は、「心」と「亡」という文字からできています。
漢字の成り立ちを、そのまま「心が亡くなる」と断定することはできません。でも、「忙しい」という状態が続くと、心に余裕がなくなっていく。これは、介護現場で働いている人なら、なんとなく分かるのではないでしょうか。
特に介護の仕事は、予定どおりに進まないことが日常です。
「トイレに行きたい」と呼ばれる。
その途中で「薬を飲みたい」と言われる。
ナースコールが鳴る。
別の職員から「○○さん、今日どうだった?」と聞かれる。
ようやく居室に戻ったと思ったら、「記録、まだだった!」。
そして、またナースコール。
「もう、忙しい!」
……言いたくなる気持ちも分かります。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみたいのです。
本当に「仕事そのもの」が多すぎるのでしょうか。
実は、作業をしている時間だけが仕事ではありません。
「これってどうするんだっけ?」
「○○さんの対応、誰に聞けばいい?」
「前回はどうしたっけ?」
「この記録、どこまで書けばいい?」
こうした「聞く」「聞かれる」「考える」という時間が積み重なると、本来の作業が何度も止まります。
例えば、申し送りを確認するために何度も人に聞く。
記録の書き方が職員によって違う。
業務の終了基準が曖昧で、「これで終わりかな?」と確認する。
一つひとつは小さなことです。
でも、それが一日に何度も起きれば、当然「忙しい」状態になります。
だから、「忙しい職員にもっと頑張ってもらう」のではなく、忙しくならない仕組みをつくることが大切です。
手順を整理する。
判断基準を決める。
「ここまでやれば完了」という基準を明確にする。
これだけでも、「聞く」「聞かれる」「考える」時間を減らすことができます。
「忙しい」は、現場の人が怠けているから出てくる言葉ではありません。
むしろ、一生懸命働いているからこそ出てくる言葉です。
だからこそ、「忙しい」と言う職員を責めるのではなく、
「なぜ、この人は忙しいのだろう?」
と考えてみる。
「忙しい」という言葉の裏側には、改善できる業務が隠れているかもしれません。
今日「忙しい」と言った仕事を、一つだけ思い出してみてください。
その仕事は、本当に忙しい仕事だったのでしょうか。
それとも――
仕事のやり方が、私たちを忙しくさせていたのでしょうか。
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